概 要

Overview

時代を超えて変わらない「普遍的な真理」と、時代と共に変わる具体的な「教育内容」があります。
北陸学院は、キリスト教学校として前者を確かな土台とするとともに、
変化する時代に大胆にチャレンジし続けたいと願っています。
ここに定めるミッションスタンダード2030は、土台を明確にして、
2030年に向かう時代への本学院の教育的アプローチを形にしたものです。
また、このスタンダードは「変わらない真理」に常に根を張りつつ、
自由で大胆な時代との対話によって必要に応じて見直されていきます。

北陸学院は、幼稚園・小学校・中学校・高等学校・大学/短期大学部へと
連続的に継続する教育を目指しています。
本学院での乳幼児期から青年期に至る発達・成長の中で、
一人ひとりが全人格的に充実した個性へと成熟することを願い、
本学院の継続教育プログラムの構造を、ここにミッションスタンダード2030として表しました。

基 盤

Base

北陸学院は、1885年にキリスト教学校として設立されて以来、
時代に即して真理を探究する姿勢と全人格を育むキリスト教教育に尽力してきました。
現在もこの時代の中で、聖書に立脚し、キリスト教の人間観、
世界観、倫理観による教育の在り方を追求しています。

キリスト教教育

建学の精神
「主を畏れることは知恵の初め」を土台に、
スクールモットー
「Realize Your Mission」を実現するため、
いつも聖書に聴きながら、

◆ 本当の知恵 ~WISDOM~ をもつこと
◆ 賜物を磨き、使命に生きること

を目指していきます。

本学院における「キリスト教教育」とは、教育プログラムの一部についてではなく、
学院の教育のあらゆる側面を含む全体を指します。ミッションスタンダード2030は、
この「キリスト教教育」全体を継続教育という視点から整理していきます。

構造図

Structural Drawing

BE

存在価値の受容

世界・自然・人間の存在の
価値を知り、
自他の存在を喜び感謝すること

DO

行動する力

与えられた力を磨き、
自らを表現すると共に、
他者のために行動すること

TO

使命に向かう意志

自らの使命を受け止めて、
知恵深くその使命を
果たしていくこと

継続教育

Continuing Education

北陸学院は、「全人格的」な養教育を行います。
成長段階に応じ、各自のパーソナリティを「核」として、包括的に
幼稚園・小学校・中学校・高等学校・大学/短期大学部の諸段階における教育を継続していきます。
また、SDGsを含め時代が要請している「誰も取り残されない世界」を目指し、
世界の抱える諸課題に真摯に対峙できる人物の育成を目指します。

 継続教育の中で、
わたしたちが育てる47の力

時代を超えて変わらない普遍的な真理に根を張りつつ、時代との自由な対話によって本学院の教育は展開してきました。一人ひとりの存在価値は何者によっても決して揺るぎません。しかし、個々に与えられた力は磨かれ育ち変化します。2020 年に策定した「ミッションスタンダード2030」では、本学院全体の教育によって成長させたい力について表明しました。この度は、これを整理し、カラフルにアイコン化しています。
2030年に向かうこの時代の中で、北陸学院全体が継続的に育てていきたい力。このアイコンは、「47の力」を理解するための道具です。

各アイコンをクリックし、詳しい説明をご覧ください。

人格

[内面性]

[関係性]

[社会性]

CLOSE

「知性」の成熟の中で、特に9項目の向上を目指します。乳幼児期は早期教育法によらず、遊びと自由保育法により「知性の素地」の育成を実施します。
また、各発達段階においてリベラルアーツにより教養の幅を広げ、複雑さに耐えうる知識・スキルを持つと共に、「知性」を深め、専門性を強めていきます。

〈知の9項目〉
言語力・論理力・理解力・創造力・発想力・
探究力・思考力・判断力・決断力

現代が求める能力・スキルから重要なものとして、10項目を取り上げます。各概念を一面的に理解せず、多様なあり方や各人の性質を認め、それぞれの個性から自然にこれらの「力」が表れることを目指します。

〈力の10項目〉
柔軟性・独創性・サポート力・リーダーシップ・行動力・
計画力・課題発見力・対話力・表現力・流暢性

食・睡眠・運動の生活習慣や、集中する時間と余暇によるリズムある生活スタイルによって身体は作られています。また、病気やケガ、生活に起こるさまざまな問題からくる「心」が抱えるストレスへのアプローチも、健やかな体を保持するのに欠かせません。健やかさや明るさを「体」が支えもし、侵しもすることを認め、「心」と「体」を本学院の教育の視野に位置付けます。

〈心と体の6項目〉
休息・健康・食事・治癒・安心・習慣

キリスト教人間観に基づく人格形成において、22項目を重要な概念として考えています。どれも「与えられる」ことから出発し、主体的に「つくり」「与える」者になっていくという行程をたどります。各概念が一人の人格の内で、発達段階に応じて継続的に深められていくために教育プログラムを検討・実施します。

〈人格の22項目〉
愛・信頼・希望・喜び・自由・平和・正義・責任・応答・良心・使命・
寛容・親切・忍耐・誠実・奉仕・感謝・賜物・勇気・肯定・情熱・関心

人格

[内面性]

愛されていることを知ることにより、愛する人になる。人を通して注がれた神の愛に満ち溢れ、愛する人になっていこう。

最も大いなるものは、愛です。
愛を追い求めなさい。

コリントの信徒への手紙Ⅰ 13章13節 - 14章1節

人格

[内面性]

希望

決して消えない希望の光を、どのような暗闇の中でも光り輝かせている。世の光として、希望の光を灯そう。

イエスは、また人々に語ってこう言われた、
「わたしは世の光である。わたしに従って来る者は、やみのうちを歩くことがなく、命の光をもつであろう」。

ヨハネによる福音書 8章12節

人格

[内面性]

喜び

鳩は神(聖霊)の象徴。その声を聴き、どのような状況下でも内面に泉のように湧き出す喜びを味わい、尽きない喜びに生きよう。

いつも喜んでいなさい。

テサロニケの信徒への手紙Ⅰ 5章16節

人格

[内面性]

自由

何にも囚われず、同時に、すべてのものに仕える自由がある。愛に根ざす自由を持ち、自分の思いからも解き放たれて人に仕えよう。

きょうだいたち、あなたがたは自由へと召されたのです。ただ、この自由を、肉を満足させる機会とせず、愛をもって互いに仕えなさい。

ガラテヤの信徒への手紙 5章13節

人格

[内面性]

感謝

「どんなことにも」の中には、非常に厳しい現実も含まれる。すべての中に有難い恵みが注がれていることに気づいて感謝しよう。

どんなことにも感謝しなさい。

テサロニケの信徒への手紙Ⅰ 5章18節

人格

[内面性]

賜物

大きさも形も違う賜物がそれぞれに与えられている。無駄にせず、これを磨き、育て、互いに仕え合うために生かして用いよう。

あなたがたは、それぞれ賜物を授かっているのですから、神のさまざまな恵みの善い管理者として、その賜物を用いて互いに仕えなさい。

ペトロの手紙Ⅰ 4章10節

人格

[内面性]

情熱

さらに大きな賜物を熱心に追い求めていこう。互いの賜物を認め合い、すべてが織りなされるよう情熱をもって一緒に働こう。

あなたがたは、もっと大きな賜物を熱心に求めなさい。

コリントの信徒への手紙Ⅰ 12章31節

人格

[内面性]

勇気

世に苦難があることは初めから自明。しかし、キリストはこの世の苦難の根源に勝利されている。だから、勇気を出して生きよう。

あなたがたには世で苦難がある。しかし、勇気を出しなさい。私はすでに世に勝っている。

ヨハネによる福音書 16章33節

人格

[関係性]

信頼

「主を信頼する人」の反対側に「驕る者」がいる。神の下で、深い信頼を寄せよう。その時、人間社会に心を開く柔和さが与えられる。

驕る者はいさかいを引き起こすが、主を信頼する人は豊かになる。

箴言 28章25節

人格

[関係性]

平和

悲惨を極める世界の罪の現実を目の当たりにする時にも、天と地を繋ぐ約束の虹を見上げよう。平和をつくり出す者になっていこう。

平和を造る人々は、幸いである。
その人たちは神の子と呼ばれる。

マタイによる福音書 5章9節

人格

[関係性]

応答

呼びかけに誠実に応じる姿勢。招かれる光栄と喜びを知り、自分を精一杯に傾けて謙遜に応答していこう。

主はきて立ち、前のように、「サムエルよ、サムエルよ」と呼ばれたので、サムエルは言った、「しもべは聞きます。お話しください」。

サムエル記上 3章10節

人格

[関係性]

奉仕

「私の隣人がいる」のではない。「私が誰に対しても隣人になる」のだ。仕えていただいたように、私も隣人に仕えていこう。

この三人の中で、誰が追い剝ぎに襲われた人の隣人になったと思うか。

ルカによる福音書 10章36節

人格

[関係性]

寛容

世界には多様な考え、文化、生き方がある。
すべての人が生きられるように寛容な心を大きく開き、多様性豊かな社会をつくろう。

あなたがたの寛容な心をすべての人に知らせなさい。主は近いのです。

フィリピの信徒への手紙 4章5節

人格

[関係性]

親切

痛まない程度の親切は誰にでもできる。
痛みを引き受ける親切は、世界を癒し新しくする。真実の親切を求めていこう。

互いに親切で憐れみ深い者となり、神がキリストにおいてあなたがたを赦してくださったように、互いに赦し合いなさい。

エフェソの信徒への手紙 4章32節

人格

[関係性]

肯定

誰が何と言っても神が「極めて良い」と宣言される。人間を含むこの世界のすべてが祝福されている。ここから出発しよう。

神は、造ったすべてのものを御覧になった。
それは極めて良かった。

創世記 1章31節

人格

[社会性]

使命

Realize Your Mission! 使命を果たすために選ばれた者として、実を結ぼう。そのために自分の命の時間を差し出そう。

あなたがたが私を選んだのではない。私があなたがたを選んだ。あなたがたが行って実を結び、その実が残るようにと、また、私の名によって願うなら、父が何でも与えてくださるようにと、私があなたがたを任命したのである。

ヨハネによる福音書 15章16節

人格

[社会性]

良心

右に倣わずに「Yes!」と言い、「No!」と言える自分の良心を基準とする。人を恐れず、神を畏れ、真実を求める良心に生きよう。

ペトロとヨハネは答えた。「神に聞き従うより、あなたがたに聞き従うほうが、神の前に正しいかどうか、ご判断ください。私たちは、見たことや聞いたことを話さないではいられないのです。

使徒言行録 4章19-20節

人格

[社会性]

責任

神は人に世界を「信託」された。人には、世界への責任がある。神の信頼に応え(response)、責任(responsibility)を果たそう。

神は彼らを祝福して言われた。「産めよ、増えよ、地に満ちて、これを従わせよ。海の魚、空の鳥、地を這うあらゆる生き物を治めよ。」

創世記 1章28節

人格

[社会性]

正義

おもねることなく、怯むことなく、正義を求めよう。正義の前では、弱く小さなものを守り、強く大きなものと闘うこともある。

立って、真理の帯を締め、正義の胸当てを着けなさい。

エフェソの信徒への手紙 6章14節

人格

[社会性]

誠実

「たとえ明日、世界が滅びるとしても、私はりんごの木を植える」(ルター)。どのような状況下でも、誠実を尽くそう。

主は心の曲がった者をいとい、誠実な道を歩む人を喜びとされる。

箴言 11章20節

人格

[社会性]

忍耐

雨風強い逆境の中でも、育つ芽を忍耐強く守ろう。やがて花が咲く日に向けて、くじけることなく学び、働こう。

あなたがたも忍耐しなさい。心を強く保ちなさい。主が来られる時が近づいているからです。

ヤコブの手紙 5章8節

人格

[社会性]

関心

この世界・自然・人間の不思議さ、美しさに感動しつつ関心を寄せよう。よく見つめ、考え、自分にできることをしてみよう。

あなたの指の業である天を、あなたが据えた月と星を仰ぎ見て、思う。人とは何者なのか、あなたが心に留めるとは。人の子とは何者なのか、あなたが顧みるとは。

詩編 8編4-5節

言語力

言葉は人を豊かにする。聞く力、読む力、話す力、書く力。言語力は、世界を把握し、つくっていくための基本的な力。母国語だけでなく外国の言葉をも理解する言語力。

論理力

筋道を立ててものごとを整理し考えれば、複雑な状況を理解できる。論理的な思考力は、混乱し無秩序に陥った状態でも、理路整然とものごとを位置付け治めることのできる力。

理解力

ものごとの仕組みや状況を正しく理解すれば、速やかに最善の道を開くことができる。
不明瞭な状況を、明確にすることができる力。自分と違う考え方でも理解できる力。

創造力

材料があっても、創造する力がなければ何も生み出せない。新しいアイディアを形にしようとする意志とつくり出すための総合的な力。新しいものを生み出す実行性。

発想力

柔軟で多角的に、広く深く想像する粘り強い思考力。これまでの地点から脱却して新しい境地へと踏み出すための力。これまでにない角度・視点から発想する力。

探究力

なぜ?と問いかけ不思議を追究する力。マクロからミクロに至る自然、人間、社会、思想、哲学、宗教などすべての分野に関与する力。好奇心・関心との関連あり。

思考力

あらゆる知の力を総合的に活用しながら考える力。自由に拡散的に柔軟にものごとを考えるが、重要な中心軸からは外れない集中した思考。問題解決の可能性の模索。

判断力

ものごとの実態を見極め、その本質を捉える力。優柔不断さは、認識の不明瞭さからくる。価値基準に照らして、明確にものごとについて検討・診断する力。

決断力

確かな基準をもってあれか、これかを決定する力。決定基準への認識の確かさが必要。どちらでもないという立場はなく、「これ」を選び取る意思と勇気も求められる。

柔軟性

場や状況に対応できる力。確かな価値観・判断軸・意思を持っている点で、優柔不断とは違う。それらを保持しつつ、変幻自在に自ら変われる臨機応変さ。

独創性

既にあるものの複製ではないオリジナリティ。独自の考え・価値観に基づいてものごとをつくり出す力。新しい着想を実現する力。他にない個性のある在り方。

サポート力

方針にそって的確・円滑にものごとを推進させるために必要な助力。何が不足し、どこを強化すべきかを判断し相応しい援助を差し出していく。社会に必須の力。

リーダーシップ

ある集団の存在意義・目的・方針を明確に把握・表明し、これを実現するために必要な在り方・実行法を示す力。個性・能力を理解し適材適所に配置、目的を実現させる力。

行動力

ある考えを計画に移し、行動する力。怠慢さや精神的軟弱さによる問題への取り組みの先延ばしがなく、速やかにものごとを動かす。計画の実現のために惜しまず動く力。

計画力

ある事柄を実現させるための問題解決法や実施順序を事前に的確に考える力。そのプランは現実的に練られ、無理なく実行可能ゆえに目的の達成に結びつく可能性が高い。

課題発見力

目指すものとかけ離れた現状との間にある課題を、客観的で現実的な感覚によって発見する力。楽観・悲観的に過ぎず、現実を見抜く眼力によって課題を的確に見出す。

対話力

多様な考え方、在り方を受容する姿勢によって言葉を交わす力。私見を明確にしつつ、自分と違う意見の尊重、フラットな立場での対話を可能とする力。

表現力

自分の感情や思考のみならず、重要な価値観や思想などを他者に分かりやすく伝える力。言葉、声、表情、行動、芸術などを組み合わせながら適切に表現する。

流暢性

滑らかに、途切れなく表現する力。思考と表現の結びつきが適切で、分かりやすい。数多くの概念を同時に思考し、整理し、素早く発信でき流れるように表出される。

休息

取り組みを中断させて、心身を休めること。教会では、平日と聖日(日曜日)。生活に正しい姿勢を取り戻すための安息・リフレッシュには積極的な意義がある。

健康

心と体、また社会的な在り方が健やかで満たされている状態。たとえ、どこかに不足があるとしても喜びと希望と平安があり、その人は健やかな明るさを宿している。

食事

生きるために必要な栄養を十分に取り、健康を共につくり出す食の出来事。食の文化は、個人生活・社会全体を豊かにする。不可欠ゆえ、すべての人に提供されるべきもの。

治癒

癒しを必要とする心と体、社会的な諸問題に手当をすること。心身の病、社会の破壊に対する予防と治癒に知恵深く当たる。ケアを必要としている場所・人への配慮。

安心

心が落ち着き安らぎのある状態。状況から不安を取り除くこと。また、安心の土台となる価値観・その状態への耐性を身に付けることで安定した心を持つことができる。

習慣

思考・行動・言語習慣・文化的習慣など色々な習慣がある。繰り返されることで定着し、当たり前となるもの。自動化させることで無理なく良いものをつくり続ける。