インタビュー

幼児教育学科

生きることってすごい!命ってすごい!
子どもはみんな自分で育とうとしている。それを応援するおとなでありたい。
谷 昌代 講師

Interview

先生の専門の学問分野はどのような学問ですか

今、子ども主体の質の高い教育・保育実践が必要とされています。子どもの学びや健やかな育ちを支えていくためには、子育て支援の視点も欠かせません。乳幼児教育学では、主に乳幼児期の身体的発達段階や特徴、感情の理解などを中心に、生涯にわたる人格形成の土台となる重要な時期の発達を支える環境や人との関わりの在り方を学び研究していきます。

また、特別支援の領域では発達障害児や何らかの配慮を必要とする子どもたちへの理解を中心に支援方法等を学んでいきます。

谷 昌代 講師

Interview

先生が専門分野を学ぶようになったきっかけ、出会いエピソードをおしえてください

私は、大学教員になる前は保育者として保育、教育に携わってきました。その中で、発達障害のある子どもたちや診断名はついていませんが保育上配慮を必要とする子どもたちと出会う機会が多くありました。その子たちの多くは、集団での活動に入ることが難しかったり、友達とうまく関係を作れずトラブルが多かったりしました。そんな子どもたちを見ていて「どの子にとっても園生活が楽しいって思えたらどんなにいいだろう…」と思い、「そもそもしんどい思いをしているのに無理に集団に入るってどういうこと?」「集団の質って?」「この子たちの願いは何?」と次々と知りたいことが湧いて止まらなくなりました。そこで自身の保育実践から湧いてきた疑問がきっかけとなり研究の道へと導かれました。インクルーシブ保育、教育の実現に向けて人との関係性の在りようを追究していくことが自身の研究軸となっています。

谷 昌代 講師

Interview

ゼミの進め方や特徴などを教えてください

ゼミ生は、保育者、教育者など対人援助職を目指す学生が多いです。普段は、各自が興味関心のある論文や文献を持ち寄り、まとめたものを発表したり討論をしたりしています。仲間のテーマに対して「自分ならどう考えるか…」自分の課題として捉えるようにし、討論を通して思考が深まる体験しています。討論で取り上げた内容をもとに卒業研究へと繋がっていく学生も多いです。

またゼミの活動として、知識や理論を詰め込んで「知っている」というのではなく、本物に触れる体験を通して、身体丸ごとで「知っていく」ことを大事にしています。山登り、火起こし、のこぎりで木を切る、季節を感じる…。予測不可能なこれからの時代を生きていく子どもたちの保育、教育を担うにあたり、マニュアル通りにこなすことばかりに力を注ぐのではなく、予測不可能なことが起こり得る自然の中に入り、いざという時に生きていくため必要な力、互いの持ち味が発揮し合う場面、協力しなくてはならない場面に出会い、人が人と自然を大事にしていくことを体感します。人に迷惑をかけない良い子と言われる子どもを生み出し良しとするのではなく「一人ひとりが発揮されること」「弱さや苦手さも含めて力を合わせること」への理解を自身で体感していきます。

私自身がゼミ生をはじめ様々な人々に支えられていることを実感しています。

谷 昌代 講師

Interview

地域の課題と学びがどのようにつながっているかを教えてください

障害のある子どもの保育については、地域との連携の重要性や専門機関で得ることができる支援方法などを学び、それらをどのように保育の中に取り入れていくことができるのかなどを考えていきます。

また、子育てに関する保護者への支援として、幼児教育学科事業である「赤ちゃん・サロン」の活動に参加する学生たちもいます。学生たちが中心となり、心地良い環境づくり、乳幼児の遊び、保護者のニーズについて等、親子とのふれあいの中で学んでいます

谷 昌代 講師

Interview

大学生に学んでほしいこと、アドバイスなどをお願いします

たくさん「心を動かす」体験をしてほしいと願っています。それは自分の趣味や友人との遊びでも良いと思います。好きなことを通して「心地いい」と思う気持ち、本気で「面白い」と時間を忘れるくらい夢中になれることなど、豊かな心の体験を重ねていくことは寛容な人間へと成長させてくれることでしょう。自分の「好き」をたっぷり実現できると、子どもたちの時にはこだわりにも見えるような「すぐに止められない興味」や「遊び」にも心から共感できると思います。子どもたちのまっすぐに向かってくる豊かな感性や表現を本気で受け止めて、その子どもたちの姿にも心を動かせる人になれたらと思います。

子どもであっても人として誠実に関わっていくおとなでありたいですね。

谷 昌代 講師