インタビュー

栄養学科

食品を科学で紐解き、その特徴を明らかにすることで、地域の産業発展にも貢献できます
榎本 俊樹 教授

Interview

先生の専門の学問分野はどのような学問ですか

食品成分を化学的に捉え、食品の特性を含まれる成分から明らかにする、いわゆる「食品化学」という分野が専門です。また、食品の栄養や味、香りに関与する成分だけでなく、健康に役立つ成分や発酵に関与する微生物についても研究を行っています。これらの専門性を活かして、石川県の伝統野菜や伝統食品の化学特性や機能性、関与する微生物などの研究を行っています。

榎本 俊樹 教授

Interview

専門分野の面白さはどんなところですか

食品には、「味が良い」、「いい匂いがする」、「きれいな色をしている」、「保存性がよい」など、食品ごとに特徴があります。しかし、それはどうして?と聞かれても、資料が無く、答えられないことも多いのではないでしょうか。特に、地域の伝統野菜や伝統食品は、学術的な研究がなされていないものが多数存在しています。これらの食品を科学で紐解き、その特徴を明らかにすることは、学術的な価値はもちろんですが、地域食品のブランド化においても重要な知見となります。さらに、得られた研究シーズを企業などと連携し新商品開発などにつなげることもでき、地域の産業発展にも貢献できます。このように基礎から応用までの一連の研究を実施できる点が、やりがいのある面白さだと考えています。

榎本 俊樹 教授

Interview

先生が専門分野を学ぶようになったきっかけ、出会いエピソードをおしえてください

大学院までは、ユーグレナ(ミドリムシ)の光合成に関する研究を行っていました。その際、ユーグレナは栄養価に優れており、未来の食糧危機にも対応できるスーパーフードであることを知り、食品に対しても興味を持ちました。約30年前、石川県農業短期大学(現石川県立大学)に勤務することになり、石川県に住むことになりました。これまで学んだ生物化学を食品に応用できないかと考え、専門分野が近い食品化学を中心に教育と研究を進めました。また、この当時、食品には栄養やおいしさだけでなく、体の調子を整える成分が含まれていることが注目されつつあったので、食品の機能性についても研究を発展させました。現在、石川県の農産物や伝統食品に関する研究が主ですが、昨年から健康の維持増進に役立つ成分を強化したユーグレナの開発についても研究を開始しました。

Interview

地域の課題と学びがどのようにつながっているかを教えてください

地域の課題を解決するためには、課題に対する情報収集が重要です。現場に出かけて、聞き取り調査も必要になります。さらに、複数で大きな課題に取り組む場合には、チームで解決策を議論することも重要です。また、食品などの場合、実際の分析値がない場合には、自ら化学実験を行い、新たな知見を得る必要も出てきます。このように、地域課題を解決するためには、これまで学んできたことを総動員する必要があり、まさに絶好の総合学習の場といえます。皆さんの学びで見出された課題解決策が、行政や民間の活動に活かされるよう、これらの団体との連携も重要です。

Interview

学びが社会に出てどのように役に立つかを教えてください

大学で学んだことが、すぐに社会で役立つことはあまりないかもしれません。しかし、皆さんは、本学において、専門知識を身につけるだけでなく、課題解決のためにどのようにアプローチしたらよいのか、そのためには何を行えばよいのかなど、物事を論理的に捉え解決に導くことを学びます。皆さんが社会にでた後、どのような場面においても、本学で学んだ課題解決へのアプローチは、応用が可能です。皆さんが社会で大きくは羽ばたくことができるよう、皆さんには知識の習得に努めるだけでなく、得た知識を総合的に応用できるよう取組んでほしいと思います。

榎本 俊樹 教授