インタビュー

社会学科

視野を広げ、「学ぶことの楽しさ」を発見してほしい
加藤 仁 准教授

Interview

先生の専門の学問分野はどのような学問ですか

心理学です。一般的には心理学と聞くとカウンセラーなどの心理臨床の専門家、占い・血液型性格判断、犯罪者のプロファイリングやメンタリズム、マインドコントロール、「心が読める」など、様々なメディアで見聞きしたものを思い浮かべることが多いと思います。これらの中には心理学を応用したものも含まれますが、全てではありませんし、心理学的には誤った理解に基づくものもあります。心理学とは、人の心を科学する学問であり、心という目に見えない現象を科学的に扱います。心理学では、誰もが理解できる共通言語としての科学で心を表現することで、人の心の仕組みを理解しようとしています。

加藤 仁 准教授

Interview

専門分野の面白さはどんなところですか

心理学の面白さは、やはり「心はわからない」というところにあると思います。わからないからこそ、どうすればわかるか、これまでどのようなことがわかっているかに興味をもって取り組んだり調べたりすることができます。心という目に見えないものを目に見える形で理解するために様々な研究方法が開発されています。みなさんが日頃から体験しているアンケート調査やインタビュー調査もその一部です。日常的に体験する心理的な現象の数々をどのようにすれば証明できるか、調べられるかについて考えられることはとても楽しいことだと思います。

Interview

ゼミの進め方や特徴などを教えてください

ゼミの大きな目標は「卒業論文」を完成させる、つまり自分だけの研究を作り上げるということです。そのためには、どのような研究が「よい研究」かについて知らなければなりません。ゼミではまず様々な学術論文や専門書を読んでまとめ、発表をしていただいています。そうすることで、よい研究の作り方を学びます。それから各自の興味・関心をもとに自分だけの「研究テーマ」を見つけます。一人で考えるだけではなかなかアイデアは出てきません。ゼミで自分のアイデアについて自由に話し、コメントをもらい、ディスカッションする中で、よりよい研究テーマを見つけ、それを卒業論文に繋げられるようにしています。

加藤 仁 准教授

Interview

地域の課題と学びがどのようにつながっているかを教えてください

直接的な支援や関わりに結びついているわけではありませんが、心理学で学んだ科学的な考え方や心理学的な支援の方法については様々な地域の課題解決に貢献できると考えています。例えば、災害が発生した際にはPFA(サイコロジカル・ファーストエイド)という概念を知っているだけでも役立ちます。心理の専門家ではなくても心理学を学んでいれば、非常時の心の働きについて理解し、適切な避難や支援に繋げられるのです。また、心理統計や心理アセスメントの知識は、地域がどのような課題を抱えているかについて正確に把握するためにも役立ちます。

Interview

大学生に学んでほしいこと、アドバイスなどをお願いします

心理学に限らず幅広い知識を身に着けていただきたいと思います。大学の学びは「知りたいことを知る」、「学びたいことを学ぶ」だけではありません。自分が何を知りたいか、自分が何を学びたいかは、自分自身でもわからないかもしれないのです。興味がなかったことの中にこそ本当に知りたかったことや学びたかったことが隠れているかもしれません。ですから、視野を広げて様々な学問分野の授業も積極的に取っていただければと思います。大学では自分で授業を選択してスケジュールを組むことになります。大学生活を通じて「学ぶことの楽しさ」を発見してもらえればと思います。